2023年の一冊目は、
去年末から決めていたコレ↓
2023年・第21回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
何より著者の「小西マサテル」とは、あの小西さん。
ずーっと入っておられる放送作家さん。
あの笑い声には大いにつられます。
「リスナーとしては」と言う興味で読む人も多いのでは。
実際に読んでみて、自分の好きな連作短編形式だったこともあり、
寝床や通勤の時間の中でぐんぐん読み進められました。
どうしても、ナイナイオールナイトのイメージがあるので、
作中に多数出てくるサスペンスの引用や笑かすような文体では
ないところに、勝手にギャップを感じていました。
それは勝手として、それぞれの短編でのつながりや、
エンディングにも伏線が効いてあたり、
読後の唸り感は多分にたのしめるものになっていました。
ちなみに、ラジオ中の小西さんと言えば笑い声を響かせるのみで、
ナイナイから振られても筆談で返すのが流儀。
なので、あまりぐいぐい表に出るとかしゃべるイメージはありません。
ただ、この発売を機にTwitterを始められたようで、
また発売にあたってインタビューや対談でも
積極的に露出されているようです。
それらを見ていて「なるほど」と思ったのが、
老人への敬意。
作中の「名探偵」とは主人公の祖父なのですが、
認知症を患いながらも謎解きの聡明さは圧倒的であり、
主人公も絶大に信頼している、という構図でした。
小西さんのとあるインタビューでお見かけしたところによると、
「老害」という言葉が安易に使われている風潮が嫌だ、と。
確かに、嫌な字面ですよね。。。
また、作中で表現のあった、祖父の体調が悪くなる要因のひとつに、
保育園へ通う子供たちの声が聞こえなくなるストレス、としていた部分。
子供の声がうるさいとニュースになるような事もあれば、
子供の声に元気をもらう人もいるのだな、と。
小西さんご自身の介護経験が下地にあることも、
作品の良さにつながっていると強く感じました。
それにしても、小西さんがサスペンス好きだとは、知らなかったなぁ。