読書が好きと言いつつ、
ついつい同じ作家さんを読みがち。
この秋の、寝床の読書習慣では
読んだ事のない作家さんを意識的に
手に取ってみている。
コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―
門司港が舞台のコンビニ、と言う点が気になり、チョイス。
過去に、一人18きっぷの旅にて
門司港を訪れたことがある。
山口県から九州へ渡り、気まぐれで降り立った街。
その駅のレトロ感、港町ののどかな雰囲気、
その光景を思い出した。
駅付近をぷらぷら散策し、名物の「焼きカレー」を食べたな。
そんな門司、そして架空のテンダネスなるコンビニを中心に、
地域住民やお客様とのあれやこれやの連作短編。
中でも一番よかったのは、頑固じいさんが主人公のもの。
仕事一筋だった男が定年を機に門司に移ってくるが、
仕事がなくなった今、特に張り合いのない毎日を過ごしている。
片や、かつては家を守っていた奥さんは、
精力的に地域のつきあいなどに精を出し、
すれ違う老齢の夫婦。
ひょんなことから張り合いができて活き活きするおじいさん、
精力的に動き回るきっかけを言い出すタイミングを逃したおばあさん。
風邪の看病をきっかけに、そんな二人の思いを打ち明けあい・・・
先日読み終えた、『ほのかなひかり』と同時期に
交互に読んでおり、ささやかな日常といったテイストも
似ていた作品だった。