久しぶりの読書。
久しぶりの伊坂幸太郎。
殺し屋シリーズの3作目にあたるAX、読了しました。
これまでの2作も読んでますが、今回は連作短編。
自分としては好きなスタイル。
1作目のグラスホッパーは正直記憶がないのですが、
2作目のマリアビートルはなかなかの長編でした。
しかも、東京から仙台行きの新幹線の中が舞台。
一部回想シーンはあれど、新幹線の中で、多数の殺し屋が同乗していて、
さらに別のトラブルが重なって・・という、一気読みの展開でした。
それでも、今回のような連作短編が好きだなと思うのは、
・1話が30分-1時間程度でサクっと読める
・それぞれの場面や主題がガラリと変わる
・それでいて一本軸は通っているし、
・前半の話が絡んでくる展開の妙も楽しめる
今回の殺し屋は恐妻家。
そういう点ではモダンタイムスを思い出させる部分もありましたが、
今回はコミカル要素が強く、伊坂さんお得意のボケツッコミがはっきりしていて、
にやにやしながら読んでしまいました。
さらに、時間軸の妙。
前半の主人公の殺し屋・兜目線から話は進み、
最終話では息子の目線をメインに、
時折回想の兜の目線が混ざり、
あの時そうだったのか!という種明かしがなされる。
そもそも殺し屋が出てくるファンタジー(のハズ)でありながら、
さらりと描かれた兜の最期にはファンタジーがなく、
自分の予想とは異なる伏線が回収されました。
どこかで、生きてるんじゃないか?
と期待していたところを裏切られた形ながら、
こういう締め括りかー、と感嘆しました。
そんな事を言っていたら、殺し屋シリーズの新刊がリリースされたそうです。
そちらはマリアビートルの流れを汲むそうな。
読書の秋。いい作品をたのしみたいですね。